「モーツァルト・イン・パリ」

MAKを解散したゲーベルがモダン・オケ(バイエルン・カンマーフィルハーモニー管弦楽団)を指揮したCD。オケが古楽のスタイルに完全に慣れていないので、アンサンブルや音色にまだ堅さや甘さはあるが「あなどれないなぁ」と思わせるのはやはり指揮者がゲーベルだからなのだと思う。
誰が考えたのかは知らないが、なにより選曲が良い。モーツァルトはともかく、誰がピエール=モンタン・ベルトン ( Pierre-Montan Berton ) なんて思いつくかね。(あ、そんな風に思うのは俺だけ。。。)
某音楽辞典によるとベルトンというのは「フランスの作曲家、演奏家の一族」だそうで、このピエール=モンタンという人が一番最初に掲載されている。1755年にパリ・オペラ座オーケストラ監督の地位を得、1767年にはルベルとフランクールの後任としてオペラ座の支配人になり、1775年から1778年まで総監督として活躍した人だったそうな。
ちなみに、1171-1773年にはコンセール・スピリテュエルの監督を、その他にも国王付き楽団やらヴェルサイユの王室劇場、礼拝堂の音楽監督なども歴任しているとか。すげぇ。なるほど、それでか。
実はムファット「パッサカーユ」の弾き振りをしてから「シャコンヌ・マニア」と化しているのだが、ベルトンの「新しいシャコンヌ (Nouvelle Chaconne)」(1762年)が聴きたくてこのCDが店頭に並ぶのを随分と心待ちにしていた。古楽指揮者がモダン・オケを指揮をしたフランス・バロックのシャコンヌやパッサカリアというのも、もちろん注目すべき点ですな。
ゲーベルはMAKとLP時代からフランス・バロックの作品を録音していて、最近ではリュリのアルバム(映画「王は踊る」のサウンドトラック)やシャルパンティエ(MAK結成30周年記念)を録音している。その内のリュリ・アルバムを聴いて一番興味深いと思ったことは、リズム・イネガルを最小限に抑えていることだった。ゲーベルはこのベルトンでも過度にイネガルを強調することはしない。
また、モダン・オケにフランス・バロックに特徴的な装飾音をそれなりに弾かせていること、フルートがトラヴェルソっぽく「くぐもった」音色であることなど、いろいろ発見があっておもしろく聴くことができた。
ただ、CDの宣伝文にある「ベルトンの作品は、まさにリュリそのもの」という表現はどうなのか?
ラモーの方が全然近いように聞こえるんだけどさ。
